曲線や曲面を効果的に駆使。複雑かつ先進的な意匠を盛り込んでくるのがクレンツェだとすれば、シンプルな直線を基調とし、エッジ感を際立たせたモデルが多いのがマーベリックだろう。
毎年、この時期には両ブランドから新作が発表されるが、特にここ数年はフラッグシップたるクレンツェに負けない注目度を誇る。
リムの深さと高級感を兼ね備えた2ピース構成、ミリ単位で選べるオーダーインセット、そしてどんな仕様にも合わせやすいデザインもマーベリックの魅力だ。
今回の新作・1010Sもまた、同シリーズらしい一作。
基本はスタンダードな10本スポーク。
足はそれぞれ均等に配置され、先端はやや先細り気味に絞り込んで軽やかに。
現行セダンに似合いそうなスポーツ系ホイールといった印象だ。
いい意味でクセがなく、スッキリしている。
しかしディテールに目を凝らすと、シンプルの裏に潜むこだわりが浮かび上がってくる。
まずはセンターパート。
定石通りきっちり落とし込まれているが、それが急角度に設定されているのが特徴。
軽くナットホールをかすめつつ、一気に深くえぐることで、立体感を強調しているのだ。
またスポークの根本には水かき状のリブが設けられている。
ココには自然と陰影が付くため、視覚的にセンター周りをコンパクトにまとめることができるのだが、同時に相対的にスポークを長く見せる効果もあり。
もちろん、剛性確保という機能的な役割も持たせているはず。
このリブはスポークにも受け継がれ、根本から先端へ向かうに従い、リブの幅を徐々に狭めていく設計になっている。
そのシルエットはまるで削り出したかのようにシャープ。
鋳造らしからぬ“硬質”な雰囲気に仕立てることにも一役買っている。
さらにファスナー部は、ピアスボルト同士を結ぶようにえぐられているのもポイント。
これは昨年モデルの905Sでも採用されたあしらいで、さり気なくもメリハリを付けるには実に効果的。
シンプルなマーベリックだからこそよく映える。
カラーは709Mで好評だったサムライゴールド、新色のメタルシルバーに加え、20インチリバースリム&21インチノーマルリムにはブラッシュドも用意。
いずれもエッジーなデザインと好相性だが、特にメタルシルバーは細かなラメ入りで、光の加減によって段差や落とし込みがより際立つ。
彫りの深さ、造形の美しさを味わうには持ってこいだろう。
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