まだVIPというジャンルが生まれる前、セダンがハイソカーと呼ばれていた1992年のドレスアップ業界に産声をあげた懐かしいブランドが、遂に復活した。日産車を中心にした、派手な外巻きで存在感抜群のエアロデザイン。さらに、ホイール、マフラーといった様々なオリジナル製品を手掛けVIP創世記を一瞬にして駆け巡ったTMオートパーツが、この度、TMAとして17年振りの復活を遂げることになった。
今回の首謀者は、当時のブランドを立ち上げた高橋克典サンではない。現在、母体である高橋モータースの代表取締役を務めるご子息、直大サンが中心となっている。
「父がセダン業界で活躍しているのは、子供の頃から見ていました。自分もセダンが好きなのは、間違いなく父の影響です」。
その言葉に偽りはなく、2020年10月号にて、直大サン自身の愛車、G50プレジデントを紹介したことを覚えている人も多いはず。あの車輌には、TMオートパーツ全盛期の当時物パーツが随所に採用されていたのだが、あの車輌こそが新生TMA復活の序章でもあったのだ。
今回の復活に向けて直大サンが強く意識していること。それは、「時代が変わっていっても、父が築いてきたTMオートパーツの魂は、変えることなく繋いでいく」という思いだ。あの時代、高級セダンに憧れるユーザーの熱い思いに応え、多くの人を魅了してきた感性を、現代へと継承していく。
それがTMAとしての新たな出発地点となるのだ。
滝澤 昇・高橋 直大
父親である克典サンが築いた功績を、TMAとして現代に継承することを誓った直大サン。そして、克典サンの時代からTMオートパーツの活躍に貢献してきた滝澤サンが、2代目を支える。温故知新と言う言葉がこれほどハマる関係性が、TMAの強みだ。
ベース車輌は前期から後期へと仕様変更してあり、販売するハーフは、今の時代には珍しい迫力ある外巻のデザインが特徴。和製AMGを意識したこともあり、塗り分けも90年代当時に多かったグレーを活用している。
Y51フーガ後期型は、アグレッシブな形状の純正フォグに特徴がある。この外巻ハーフは、その純正デザインを活かして、90年代当時の懐かしいスタイルをオマージュして作り上げた。そのためハーフとしては珍しいほど重厚感ある雰囲気となり、「和製AMG」と呼びたくなる理由がよく分かる。この車輌は前期ベースの後期仕様のため、サイドとリアは前期用をそのまま流用。3ピース構成のリアスポイラーも、各部3点のエアロとの相性は抜群だ。なお、前期型と後期型では同じようでいてバンパー形状が異なるため、ヘッドライト周りにカバーを新規追加。さらに、サイド上部に見える数本のスリットデザインは、「当時流行っていたヨーロピアンモールを探し出してきた」とのこと。
【Y51フーガ後期用】
こちらのフロントは、エレガントなシーマらしさを強調した内巻きハーフ。サイド、リアも併せて、高級感を増すデザインを採用した。ボディスタイルは同じでも、両車のエアロのコンセプトの違いが如実に現れている。
髄所に光る純正のメッキ類をそのまま活かしつつ、上品さを底上げするようにイメージして製作されている。フロントハーフは、シンプルなデザインでも存在感が増すように、上下のラインに対して緩やかな曲線美と立体感が出るように演出。左右に縦に流れるエッジは、L字型に前方へと線を伸ばし、雰囲気が単調にならないよう意識。なお中央部には、TMAの名がしっかりと彫られており、フロントハーフを見るだけでも、非常に手間がかかった内容であることは誰もが理解できるだろう。
サイドとリアも、フロント同様に純正の上品さを損なわず、かつ変貌感も味わえるデザインが最大のポイント。サイドはシンプルでも、しっかりと装着感も実感できる絶妙なデザイン。リアも、フロントと同じエッジを全体に残しつつ、一見ノーマルのようにも見える自然な仕上がりが印象的だ。ロゴなどがインフィニティ仕様なのも同社ならでは。
【Y51シーマ用】
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