面構成が複雑で、立体的、まるで社外のフルバンを纏ったかのように完成度が高い新型・220クラウンの純正バンパーは、まさにエアロメーカー泣かせ。
「どうぞそのままで乗ってください」と、開発者の自信を持った声が聞こえてきそうである。
しかし長きに渡りセダン用エアロを開発してきたエイムゲイン。どんなセダンでもカッコ良く仕上げてきた、アフターパーツメーカーとしての意地がある。だから新型クラウン用エアロの開発に、いち早く名乗りを挙げた。
しかし今回のクラウンに関しては、さすがの伊藤チーフもかなり悩んだ。
「今回のクラウンは純正バンパーの丈が結構大きく、まさに『エアロを付けるな』って感じだったんです。だから実用性を考えつつ、どれだけ良いデザインに持っていくか。そこを重視してサイズを決めました」。
まずはスポーツグレードのRSオーナーへ贈る、純VIPスポーツの開発に着手。ドレスアップパーツメーカーだから、車高を落とすというニーズも考慮。とは言え純正バンパーの丈が大きいため、車高を下げても走れるように薄型のアンダースポイラーという結論を出した。
パーツ構成はフロント・サイド・リアの3点。下方向へのボリュームは、フロント&リアがフェンダーアーチ辺りの測定でプラス20ミリ、サイドに至ってはプラス10ミリとごくわずか。しかしエアロ自体は、しっかりと厚みがあるように見える。
「純正のサイドはボトムがフロントバンパーよりも低かったので、下げたのは10ミリだけ。でも10ミリの板を付けただけではカッコ悪い」。
そこで純正サイドのボトムに少しだけ被せる手法を採用して、エアロの厚みを稼ぐことに成功した。横方向への張り出しも十分で、エアロを装着する満足度も得られる。
前後のスポイラーも純VIPスポーツに相応しい、躍動感を盛り上げるアレンジが光る。フロントは中央に2本の柱を設け、空間を作ることで空力性能の向上をイメージ。両端をカナード風に立ち上げたのも見逃せない。リアもボトム全体をカバーするアンダータイプで、マフラーを包み込ませる造形により、純正バンパーとの一体感を実現した。
「純正リアバンパーの下側はマットブラック。ここにボディ同色のスポイラーを付けることで走りの雰囲気がより強くなって、車高の低さを強調することもできます」。
エアロの開発に取りかかる前に本誌や自社のサイトで完成予想CGを発表したのだが、この時点で多くのクラウンオーナーからの問い合わせがあったという。エアロが完成してからの反響も上々で、
「先日もわざわざ神戸から50代の方がデモカーを見に来られて、エアロを注文してくださったんですよ」。
高額なクルマだけに、年齢層も高め。それでも若々しくドレスアップしたいオーナーの心に、上手く刺さってくれた純VIPスポーツ。今後開発を予定している、標準グレード用の純VIPエグゼも楽しみだ。
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クラウン用エアロ情報
●VIPスタイル編集部
掲載:2019年2月号_THE NEW CROWN
文=岩田 直人 写真=高原 義卓