200系と210系、2世代のクラウンが混在する仕様ながら、自然にまとまり感のあるスタイリング。着地寸前の車高、シビアなツラ具合、深リムとブレンボのコンビ──VIPのツボを押さえたイジりで、より上のステージを目指す。
5年ほど前に購入した200アスリート。その当時は現在のようなスタイルになるとは、きっとオーナーも予想できなかったに違いない。真正面から見ると元の面影はほとんどなく、完全に210アスリート後期である。
実はこの前段階的な仕様として、フリーダムリジョンのフェイスコンバージョンキットを組んでいた時期もあった。
「VIPスタイルさん主催のクラウンミーティングの頃ですね。そこからボンネット・グリル・ヘッドライト・フェンダー・エアロにいたるまで、全部一新しています」。
テーマはスポーツVIP。顔面移植が目的というわけではないが、
「どうせなら誰もやっていないことにチャレンジしてみたかった。フェイスコンバージョンキットでもけっこう満足感はありましたが、もう一歩、そこから先に進んでみたくなったんです」。
コンバージョンキットで使われていたのは210アスリート前期用のグリル。それを後期用に変更し、同じくヘッドライトも後期純正に換装した上、ウインカーをLEDに打ち替え。シーケンシャル加工で流れるようにしてある。
そしてフロントバンパーはワンオフ。210系のパーツに合わせて一から造形した入魂の作だ。デザインは立体的でエッジが効いており、オーナーの目指すスポーツテイストが巧みに表現されている。中
でもヘッドライト下やフォグまわりを走るシャープなラインは印象的。
「グリル脇に入れたフィンも密かなこだわり。カタチはもちろん、長さや角度も綿密に計算しています」。
フロントフェンダーはJユニットの200系用がベース。210系のヘッドライトにフィットするよう調整しただけでなく、ダクト部分にもさり気なく手を加えている。
「サイドダクトはカバーを外してカットし、メッシュ張りに。サメエラっぽいところは囲むような縁取りを作ってメリハリを強調しました」。
といった感じで、フロントまわりは210アスリート後期改というべきオリジナルカスタム仕様。一方サイド〜リアは200系ベースのまま、ブラックパールエアロを丁寧に塗り分けてスポーティさをプラス。フェイススワップだけをアピールポイントとせず、ボディ全体をバランス良くまとめている。
ドレスアップの基本である足まわりがビシッと決まっているのも大きい。エアサスと見紛うばかりのローフォルムに、純正フェンダーにギリギリ収めたF10・R11JのマイスターM1。しかも車高重視の19インチで、これまた際どいクリアランスでブレンボキャリパーもネジ込んでいる。仮に顔面移植なしでも戦闘力は高いだろう。
「まわりの評価はまずまず。よくここまでやったねと驚かれたりもします。コロナの影響もあって、現仕様ではまだ2回しかイベに行けていませんが、今シーズンは部門突破が目標。まだやりたいことも沢山あるので、進化させつつ励みます」。
<OWNER>
熊本県
柏木 綾太 (26)会社員
製作は地元のSファクトリーが担当。「的確なアドバイスを下さる坂崎社長に大感謝。頼りになる存在であると同時に、憧れのオーナーでもあります」。
●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2021年8月号