フェンダーとキャンバー、ツライチを極めた豪快な足元。しかし、色はあえてアダルトなグレー系。メリハリを付けるブラックアウトも効果を発揮し、最終的には渋くまとめる。その絶妙なバランスに注目したい200クラウン。
リメイクのきっかけは、アレスが製作したオレンジの210クラウン。同社と言えばハイレベルなボディワークにも定評があり、特にワイドフェンダーは逆アールとクッキリとしたミミが織りなすダイナミックな作りで、アレスらしさが強く出ている部分である。その210クラウンに憧れて、外装をトータルで作り替えた。
キモとなるオーバーフェンダーは熟練の職人が丁寧に作り上げ、まさに理想としていた210クラウンのように、滑らかさとクッキリとしたラインが見事に調和。しかし200系のボディに違和感なく馴染むように、工夫も凝らしている。
「200系はフロントフェンダーにモッコリしたラインが入っていますが、オーバーフェンダーの邪魔にならないようにハンマーで叩いてつぶして自然な面を作りました」。
さらにフェンダーのスソは自然な流れで下へと絞り込ませ、ロゼルとTディメンドのアームで煮詰めたキャンバー角を強調する。そして足まわりはエアサスだが、ちょっと車高を上げるだけで走れるようにインナーなど見えない部分もフル加工。ハンドルを切った時に当たりやすいヘッドライトの裏側も、形状を変えて干渉を防いでいる。
ホイールはワーク伝統のスポーティな5本スポーク、マイスターS1をチョイス。設定の中で限界のマイナスインセットを選択したこともあり、リムの深さはまさに驚異。
「このホイールを収めるためにフェンダーは当初よりも大きめな作りとなりましたが、まずはキャンバーの迫力に目が行くので実際はそこまで大きく感じることはないです」。
フェンダーの作成と同時に、前後のバンパーをロゼルに変更。フェンダーのスソを作り、リアバンパーをもともと付けていたセンスブランドのマフラーに合わせて開口を作り直した程度で、大幅な加工はしていない。ただ塗り分けにより、エアロが持つ立体感を際立たせている。ボディカラーはオリジナルのダークメタルグレー。R35GTーRの純正色からヒントを得てオリジナルで調合した。フェンダーを出してキャンバーも付けているが、渋めのカラーリングを選んだことで上手にバランスが取れている。エアロやルーフなど各部の塗り分けは引き締め効果が高いブラックを選び、スポーティなムードを漂わせる。
「メッキの部分も浮いているような感じがしたのでブラックで塗装。カーボン調だったピラーも黒で塗り直して統一感を出しています」。
そしていかにも目立つワザではないが、同じ車種のオーナーが見たら違いに驚く、ボンネットのプレスライン加工も見逃せない。センターに新たな太いラインをスッと通し、本来のプレスラインは盛り上げて立体感を強調。ダクトを開けるなど「いかにも」な加工は避け、さり気なくオリジナリティを主張する。
大ワザと小ワザを絶妙なさじ加減でミックスして、以前の仕様から大きく進化した200クラウン。オーナーの小栗クンも大満足だ。
<OWNER>
岐阜県
小栗 唱平 (26)会社員
内装の張り替えなど、自作も頑張っている小栗クン。「次は内装に力を入れたいですね」。隣は彼女の聡子サン。
●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2021年8月号