詳しい人ほど、真実に気付いた時には驚く。「マジで?」「なぜ?」「どうやって?」。そんな思いが頭を駆け巡るに違いない。普通のドレスアップでは得られないサプライズと面白さが、このLSのボディには秘められている。
煌びやかなゴールドメッキラッピングのLSを覚えているだろうか。2〜3年ほど前に各地のイベントで活躍し、2019年10月の本誌主催ミーティングでは9台限定のアワードも獲得。しかし、以降は表舞台で見かけることはなくなっていた山本クンの愛車だ。
あれから約1年半。今年3月の栃木ドレスアップカーコンテストで、久々に姿を見せた彼のLS。念のために伝えておくと、買い替えではない。もともと40系LS460前期の600中期仕様だったのだが、ご覧の通り、外装一式を50系LS500前期へと進化させてきたのである。
「前回はストレートに派手に振ったドバイ仕様。とにかく目立ちたいという欲求が強かった。今回はまた違ったアプローチで注目を集めたいと考えてフルリメイクです。一見シンプルだけど、やることはやっている大人のVIPを目指しました」。
確かにフロントはエアロレスだし、ボディカラーはオリジナルのガンメタながら、純正OPのマンガンラスターに見えないこともない。オーバーフェンダーも自然なカタチゆえに主張も控えめだ。ふむふむ、純ベタ系の50LSね…というのがパッと見の印象になるだろう。 しかしその正体は平成18年式、初期型のLS460。シンプルだとか大人っぽいとかそういう以前に、ベース自体がとんでもなく特殊。
「鋭い人はクォーターガラスやドアミラーで察知しますが、室内を見られない限りほぼ気付かれません」。
ボンネットはエンジンルーム内のフレームごと移植し、ヒンジなどはワンオフ。前後ライトも純正とまったく同じように機能するし、トランクもスマートキーで自動開閉する。おまけに公認車検取得済み。見た目だけのスワップではない。
製作は地元・茨城のガレージドリーム、そして岐阜の水野ボディーワークスが担当。水野サンといえば現行センチュリーマスクの21セルシオでお馴染みだ。あの顔面移植エキスパートが携わっているとあれば、このクオリティの凄さも頷ける。
「ヘッドライト用のコンピュータを一から作ってもらったりと、作業は相当大変だったと聞いています」。
フェンダーも要注目。前後とも50純正と40純正をニコイチした上でオバフェン化。出幅はF3・R6センチで、ごく滑らかに膨らませた。
「自分の考えていたイメージを、菊地社長がアップグレードして作ってくれました。特にテールランプから続くプレスラインが、自然に消えていく感じが気に入っています」。
ちなみに今回のリメイク費用があれば、中古の50LSを買うことも十分に可能。一般人の感覚ならばそっちに傾くだろうが、あえて移植を選ぶのがオーナーらしいところ。
「このスーパーチャージャー付きのV8エンジンも捨てがたかったし、わざわざカスタムするからこそ面白いじゃないですか。見て、驚いて、楽しんでもらえたら満足です」。
<OWNER>
茨城県
山本 祐介 (28)会社員
「ドリームの菊地社長、そして水野ボディワークスの水野社長と出会えたことで、このLSが生まれました」。今後もイベントには積極的に参加予定。
●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2021年8月号