10月に開催されたVIPスタイルミーティング。参加台数は327台。悪天候にもかかわらず、これだけ多くのセダンが岡山国際サーキットに集まった。アワードは今回22本用意されたが、それを見事手にした1台が、こちらの10GS450h。オーナーの原田クンは職業が海上自衛隊で当日は参加できず、アワードに選ばれたことはこのGSを製作したKCスタイルの古川社長から連絡をもらったという。
「当日は数多くのセダンの中から僕のクルマを選んで頂き、本当に嬉しく思います。そして古川社長にも、感謝の気持ちでいっぱいです」。
受賞の決め手となったのは、まずベース車の新しさ。19系はイベント会場でも多く見かけるが、現行型の10系をイジるオーナーはまだ少ない。しかもこのクルマはグリルやライト、フロントフェンダーなどを後期GS F純正に交換しており、パッと見はGS Fにしか見えない。その稀少性の高さが注目を集めた。
また、語らずにいられないのがゴールドメッキのシートを使ったボディのフルラッピング。ミーティング当日は、残念ながら一日中雨だった。しかし雨などお構いなしとばかりに、輝きに満ち溢れていた。
「ボディをゴールドメッキにしたのは、ブラックジャック鈴木サンのIS Fに影響を受けました。あのクルマはピンクゴールドメッキでしたが、間近で見た時は本当に衝撃的でした。外装をF仕様にしたのも、鈴木サンへの憧れが強いです」。
普通のシートと違って取り扱いが難しく、手慣れたプロでも貼るのが難しいメッキシート。しかし繋ぎ目は全く目立たず、ボディを丸ごとメッキ加工したような艶やかさ。そこはセダンのドレスアップに強い、KCスタイルだからこそできる仕事だろう。さらにホイールも注目。高価なアメ鍛、アヴァンギャルドをセレクトしたが、何とディスクが24金メッキとなっている。まさにこのGSに履くためにこの世に誕生したと言っていいくらい、ゴールドメッキのボディに違和感なくハマっている。
「このホイールは、もともとKCスタイルのめぐみサンが210クラウンに履かせていたものを譲ってもらいました。色合いを統一させることで、自分が理想としていた高級感を出すことができたと思います」。
そしてエアロやドアミラーなどの色分けは、ラッピングで質感が高いブラックカーボン調にアレンジ。ゴージャスなカラーリングとのマッチングも上々だ。コンセプトはドバイ仕様。現地のセレブたちがイジるスーパーカーをイメージして外装を仕上げたと聞くと、説得力を感じる。
カラーコーディネイトは非常に大胆。しかし色を抜きにして見てみると、意外とボディメイクはシンプルにまとまっている。もしあらゆる場所にダクトを刻んだり、バンパーを原型がなくなるまで加工していたら、恐らくトータルバランスが崩れていたかもしれない。GS F仕様とゴールドメッキだけでも、十分すぎるほど存在感を出せる。だから他の部分は主張を抑えている。
例えばエアロひとつとってもシンプル。フロントはGS F純正バンパーのデザインを生かし、スポーティ感をさらに高めるアンダーリップをセレクト。こちらはエイムゲインのRC F用を加工して装着した。
「一見するとデザインは大人しめですが、部分的に走りの要素が備わっているところが気に入りました」。
左右の開口には、丸型のフォグを縦2連でセット。本来Fにはフォグの設定はないが、あたかも純正かの如く絶妙な角度でインストールされている。個性が強いF純正ヘッドライトとのマッチングも文句なし。
リアは純正バンパーに、シルクブレイズ50プリウス用のハーフをスマートにフィットさせている。ローマウントランプが内蔵されたセンターの造形、両端のさり気ないカナードが良い味を出している。カーボン調シートを貼り、別体感を際立たせているところも大きなポイントだ。
フェンダーに関しては、前述の通りフロントはF純正に交換。サイドステップと繋がりを持たせた縦長ダクトは、このモデルだけの特権である。そしてあまりにも自然で気付かない人も多いかもしれないが、リアフェンダーは3センチ叩き出し。
「フロントフェンダーとのバランスを考えて、出ているか分からないくらいにワイド化してもらいました。存在感はかなり出たと思います」。
ここまでガッツリと手を加えたGSだが、これで終わりだとは思っていない。すでに新たな仕様を考えているというから、今後の展開に期待したい。最後に、お世話になったKCスタイル古川社長へメッセージ。
「僕がセダンを始めたのは、社長がきっかけでした。社長のおかげで、僕は今もVIPを楽しむことができ、本当に感謝しています。これからもよろしくお願いします!」。
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●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2018年2月号
文=岩田 直人 写真=木下 誠