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【30セルシオ / オーナー車】全てのバランスに優れた30セルシオ

30セルシオ,VIPSTYLE

オーナー:TAKAHIRO FUJIKI × 30CELSIOR

全てのバランスに優れた30セルシオ

今の二人の気持ちは全く一緒で、

「嬉しいような、寂しいような(笑)」そんな気分。このコメントの裏には羨ましいほど充実した、1年半という時間が隠れている。

「仕事が終わったらショップに直行。週に4日は見に行っていました」。

人生初のオーバーフェンダー製作。同じく、初のオールペン。その他、前人未踏の腹下対策に、ワンオフのウイングに、細かな塗り分けなど、外装をフルでリメイク。

30セルシオ,VIPSTYLE

「焦りはなかったので、ショップには『時間制限なしで、じっくり作ってください』とお願いしました。僕らの予想では、『内容からいって、2年半だね』って感じだったんですが、想定より早く完成させてくれました」。

とはいえ、1年半は長い。途中で心が折れたり、投げ出したり。長期戦にはつきものだが、1年半という期間は、人の心がそうなったとしても責められない。

「ショップによっては、色んな理由で、なかなか前に進まないところもあるそう。だけど、ファーストクラスはそうではなく、毎日、僕のクルマを触ってくれて、毎日、どこかしらが変わっていた。だから、1年半の間はクルマに乗れなかったけど、寂しいっていうのは全然なくて、それ以上に充実していたっていうか、とても楽しい時間でした」。
ゆえに、完成した今は二人とも、ホッとしたと同時に、嬉しいような、寂しいような、そんな気分なのだ。

30セルシオ,VIPSTYLE

今回のメインはオーバーフェンダー。今までは純正フェンダーにこだわってきたが、極太仕様のランベックLD1に一目惚れしたのをきっかけに、オバフェン化を決意。

「昔のパーツじゃなく、今のパーツで、全盛期に流行った王道仕様にしたかった。ランベックは理想にピッタリのホイールで、見た瞬間に『これだ!』って思いました」。

完成するまでに、オバフェンは3回も作り直したそう。

「作り直した理由は、藤木クンがどうこうってわけじゃなく、僕自身が納得いかなかったから。アーチの高さ、フェンダーのボリューム感、ホイールのツライチ。この3つのバランスが、このクルマのポイントなんです。少しでも違和感があったら、もちろん、やり直す。信頼して預けてくれた藤木クンのためにも、絶対に妥協したくなかったんです」。

辿り着いた数値はF2・5センチ、R4・5センチ。アーチ上げはF9センチ、R10センチ。限界サイズのランベックLD1に合わせたツライチは、文字通り、名刺一枚のクリアランス。足まわりは車高調なのだが、言うまでもなく、この状態で走り回ることができる。

「セルシオのボディラインを崩さない形状は、僕のリクエスト通りで、めちゃめちゃカッコイイです」。

30セルシオ,VIPSTYLE

この車高でフロントのアーチを9センチ切り上げると、どうなるか。タイヤがヘッドライトの裏側に当たり、そして、アーチ形状自体もおかしなほど左右に広がったカタチになってしまう、というのが答え。

「その時、田口クンが出してくれた解決作は3つ。ヘッドライトの裏側を削ってスペースを稼ぐこと。アーチ形状が不自然にならないよう、ブリスター化した上で、オバフェン化すること。そして、最後の一つを聞いた時は、本当に驚きました」。

それが、フロントとサイドステップの調整作業だ。

「そのままホイールを装着すると、ホイールがヘッドライト方向に行き過ぎて、バランスがかなり悪い。それをロアアームで戻して。でも、今度はアーチのセンターにホイールがこなくなる。だから、フロントバンパーサイドを2センチ伸ばして、逆にサイドステップは3センチ短縮させているんですよ」。

オーナーの要望をカタチにするというのは、こういうことだと思う。言われたことを単純にやればいい、というのとは違う。そうするためにはどうするか。そして、それをカッコ良く見せるためにはどうするか。田口サンは、それを実現する知識を持ち、それをカッコ良くするアイデアを持っている。

藤木クンは「もう病気です(笑)」と自分で笑うほど、低くしないと気が済まないオーナーでもある。

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車高調整も今回の仕様変更のメニューの一つで、あらゆるテクニックを駆使して車高を落とし、そして、走れるようにしている。

「エンジンはメンバーを短縮して、あとカラーを噛ませることで、4センチほど上げています。リアも短縮+リジット化で、全体的に3センチほど底上げしました。通常、メンバーのブッシュのリジット化は足まわりの感触をダイレクトに伝えるための方法。でも、今回はそうではなく、地上高を稼ぐために、裏技的に使っているのがポイントなんです」。

前述のオバフェン製作同様、車高調整も、オーナーの理想を叶えると同時に、現実的に走れるようにプロの技も注入しているのだ。

藤木クンは26歳、田口サンは24歳。年齢が近く、プライベートでも付き合いがあるというのも、いいタッグになった要因かもしれない。

「僕の話をしっかり聞いてくれて、例え難しい内容でもゼロにはせず、微調整してでも、何とかカタチにしてくれる。オーナーとしては、そういう部分が本当に嬉しい」。

「藤木サンとは6年の付き合い。僕のことを凄く信頼してくれて。『少しでも早く乗らせてあげたい』って気持ちで頑張ったんですけど、ようやく完成させられて良かったです」。

●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2018年8月号
文=田中 覚 写真=木下 誠