ドレスアッパーのタイプは人それぞれ。エアロやホイールはもとより、ちょっとした小物パーツの選択まで、すべてを自分で徹底的に選ぶ人もいれば、トータルなイメージを頭の中に思い描き、最終的なフィニッシュは信頼できるショップに委ねるという人もいる。
アプローチに違いはあれど、「かっちりキマったクルマに仕上げたい」という目指すべき終着点は同じであり、どちらの考え方も間違いではない。
そんな中、今回スポットをあてた松本クンは、両方の資質を備えたちょっと珍しい趣向の持ち主だ。
クルマに興味を持ったのは意外にも母親の影響だという。子供の頃、自家用車として身近にあったのは17クラウンだった。
「母の運転で出かける度に、ウチのクルマは乗り心地がいいなぁと思っていました。だからおのずと自分も、免許を取ったら乗り心地の良い高級車にしようと決めていました」。
初の愛車に選んだのは、200クラウンハイブリッド。標準のロイヤルやアスリートを避けたのは、人と被るのが嫌だったため。
とはいえ、当時の松本クンはカスタマイズにはまったく関心を持っておらず、むしろ「クルマはノーマルが一番」とさえ思っていたという。
そんな松本クンが考えを変えるきっかけとなったのは、とあるサイトに掲載されていた1枚の画像だった。ブレーンのX10仕様のマジェスタである。
「クラウンを購入して2年ほど経った頃で、周りにもハイブリッドが増えて来たので、買い替えを考え始めていた時でした。最初は210アスリートも候補でしたが、台数が多いので、それならマジェスタもアリかも? と気になっていた時だっただけに、衝撃は大きかったですね」。
この出来事から僅か数ケ月後には、松本クンの姿は福岡県中間市のブレーンにあった。
主張を避け、
調和に徹したオトナな仕上がり
24歳という若さながら、強い行動力を持つ松本クン。
ブレーン訪問は知り合いの紹介等一切なく、まったくの飛び込みだったという。
この時、親身になって話を聞いてくれたのが、シンプルスタイルの達人である岩見サンだ。カスタマイズに関する専門的な知識は持っていなくても、お互いの琴線に触れる美的ポイントが共通であったため、初対面ながらすぐに意気投合。
トヨタのフラッグシップカーらしい存在感を持ちながら、印象はあくまでナチュラルというコンセプトに基づいたクルマ作りがスタートした。
「完成までの期間は約一ヶ月半。2年前の福岡カスタムカーショーの会場が初対面の場所でした。もちろん、仕上がりは言うことナシ! 今年の春にホイールをジスタンス鳳凰エディションに履き替えた以外は、当時のカタチをキープしています」。
2年近くもリメイクしていないと聞くと、中には「進化の停滞」と思う人もいるかも知れない。
が、実際は違う。そう、一切の妥協を嫌う本格志向のオーナーと敏腕ビルダーの強力タッグにより作り上げられたフォルムは、2年程度の時間では色褪せるはずもないのだ。
どの車種よりも大好き
【特集】マジェスタ
絶対必見!
●VIPスタイル編集部
掲載:2018年12月号_THE DEBUT!
文=高橋 陽介 写真=西野 キヨシ