シンプルを志すなら、TFLコンプリートの名を知らない者はいないだろう。現行車を容赦なく落とし切り、高級ホイールを履かせた黒ボディの軍団。かつてのシンプルブームを盛り上げ、牽引したのも彼らだった。
時代は移り変わり、ユーロやスーパーカー系など派手な仕様がもてはやされても、TFLは何も変わらない。この藤原マジェのように、ただただシンプルに低く、それでいて他とは明らかに違う、“本物”のオーラを纏い続けている。
かつて18マジェに乗っていた頃、神林サンに誘われてTFLコンプリートに加入。その後、200マジェで本誌カバーカーの座をゲット。さらにその後はLSに乗り替えるも、半年ほどでこの210マジェにチェンジ。VIPでは同じ車種に長くこだわり続ける“一車入魂”のオーナーも少なくないが、藤原サンは実にサクサクと乗り替えを繰り返してきた。
「やっぱり、新しいクルマに乗りたいじゃないですか」。
この傾向は他のTFLメンバーも同様。気になる新型車が出ればすぐに買うし、マイチェンすればいち早く後期仕様をやったりもする。30セルシオがマイチェンした時、神林サンが日本一早く後期仕様にしたのは有名な話。
「まだ誰もイジっていないようなクルマをイジるから面白いんです」。
ちなみにTFLでは、乗り替えたり仕様変更をする際、他のメンバーには内緒にするという習慣(?)がある。
「だってビックリさせたいから(笑)。仲間とはいえ、メンバーはみんなライバル。どこか『出し抜いてやりたい』という気持ちもあるんです。このマジェを買う時も内緒にしてましたし」。
とはいえ、チームの共通事項は守る。その一つがカラー。7年ほど前からは、メンバー全員が黒で揃えている。シンプルスタイルでは白と並んで多く選ばれる色だが、藤原サンは「キズや汚れが目立ちやすいのがいい」という。この手の仕様はキレイさも重要だというのに、一体なぜなのか。
「汚れやすい色だからこそ、キレイにしていたら目を引く。しかも、それをサラッとこなすのがいいんです」。
そのために、洗車は週一ペースといわず、気になれば連日でも洗う。プロの手によるガラスコーティングも年に1度は必ず施工。加えて保管場所はもちろん屋根付きと、きっちり手間もお金も掛けてキレイさを保っている。
「パッと見でラインが出にくいのも黒の良さ。光が当たって初めて『ココはこんなラインなのか』というのが分かる。そんな奥ゆかしいところも好きです。あとはメッキが映えるのもいいですね」。
またTFLといえば、圧倒的な低車高と海外ホイール、ブレンボブレーキという組み合わせも特徴だ。当然、フェンダーは一切出すことはないが、インナー加工やアーム交換&加工などを駆使。純正では普通は履けないサイズをネジ込みつつ、ガッツリ落とす。
「ホイールもブレーキも、まず高価というのが一番のポイント(笑)。現行車をイジるのと同じ感覚で、なかなか買えないモノを何気なく付ける。その贅沢さが、大人の余裕を生むんです」。
なお、今回藤原サンが履いているのは、スーパーRSの20インチ、F10・R10・5J。インセットはかなり深いので、前後ともロアアームを短縮するなどして際どく収めているが、当たり前のように履いている姿からは、そんな裏事情は伝わってこない。ゆえに、「同じサイズを履けばこうなるのか」と思いがちだが、実際はこんな風には履きこなせないのだ。TFLに憧れる人は多いものの、なかなかそのスタイルを真似できないのは、こうした見えない部分の違いが大きい。
もちろん、独特のオーラを形成しているのは足まわりだけではない。この藤原マジェにしても、純正っぽいリップは実はワンオフ、サイドやハネもミリ単位で短縮。ドアミラーのフチなどメッキも増やし、エンブレム類はゴールド化と、細かく手を入れている。
「エンブレムは純正OP…じゃなくて、金メッキ加工。そもそも210マジェにゴールドエンブレムは存在しないので、そこに目を付けました」。
室内も一見純正風だが、エアコン吹き出し口や各スイッチ周り、バニティミラーのカバーなど、数十箇所にも及ぶポイントをウッド&メッキ化。しかもウッドは本物の木を使った“リアルウッド加工”だ。天井もアルカンで張り替え、さり気なくも純正より格段にグレードアップさせている。
「この辺は気付かれないことも多いというか、ほぼ気付かれませんが…」。
そしてこれを普段乗りで使う。毎日の通勤や買い物もちろん、パチンコにだって210マジェで行く。
「イベント専用じゃなく、街にいるリアルな車高短。VIPは本来、そういうものかなと思っています」。
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●VIPスタイル編集部
初出:VIPスタイル2017年10月号
文=佐藤 知範 写真=木下 誠