※こちらの記事は2022年8月号に掲載した内容をまとめたものです。
日本を代表する最高級車であり、たとえお金があっても乗るには覚悟の要るクルマ。それをイジるというのだから、生半可な気持ちでは許されない。胸を張って誇れる真のVIPセダンを作るために、果てしない道をひた走る。
誰もが羨むような高級車を、容赦なくイジる。それは昔から変わらぬVIPの醍醐味の一つ。「もったいない」「非常識だ」といった意見もあるだろうが、そんなのは百も承知。だから面白いし、目立つのである。
とはいえセンチュリーとなると話も変わってくる。皇室をはじめ、本物のVIP=要人が乗るような特別なセダンなのだ。G50系は20年も販売されていたから、中古車店では100万円くらいで買えたりもする。だけど本当にいいの…? といった気持ちになるのが普通。
むろんカスタム例がないわけではないのだが、センチュリーと聞いて出てくるのは、TFLコンプリートの神林サンやフィフティーオート呉藤サン、スパークファイン喰田サンなど、名だたる顔ぶれ。VIPを知る者ほど、大きなプレッシャーを感じるのではないだろうか。
だがそんな諸々にも臆することなく、禁断のセダンに挑み始めたのは約10年前。オーナー21歳の時。
「最上級の車格に、国産では唯一のV12エンジンを搭載。VIPの世界で一番を目指すなら、このセンチュリーしかないと思いました」。
さっそく車高調で落とし、エアロをニコイチし、ブレーキやマフラーも装着。各地のイベントにも参戦して知名度を上げると、23歳で本誌特集に初登場。その後も全塗装や内装張り替え、トランクオーディオ製作など、さまざまなリメイクを重ねながら最前線で戦い続けてきた。
そして今シーズン、外装を一新。VIPを極めんとする彼の旅路は、また新たな佳境を迎える。
不撓不屈の魂を抱き、ジャパニーズVIPの王道を突き進む。
TOYOTA
50CENTURY
Kブレイクのエアロをニコイチしていた前仕様。何年も愛用してきたそのバンパーを今回は脱ぎ、新たにジャンクションプロデュースを身にまとう。
「センチュリーが持つ本来の風格を生かしてシンプルに。改めて、これぞVIPカーというような王道のスタイリングを追求しました」。
ゆえにデザインやラインの大幅変更はなし。アレンジはバランスを整える目的で実施している。たとえば前後バンパーの丈は、さり気なく下方向に3~5センチ延長。
「フロントはメッキモール下から開口部の間を。リアも真ん中くらいを伸ばしました。エアサス車なら、むしろ短縮するケースの方が多いと思いますが、薄くするとVIPらしい重厚感が足りなくなる。またフェンダーとの釣り合いも勘案すると、延長するのがベストでした」。
フォグランプはメーカー指定のものから純正に変更。カタチもサイズも微妙に異なるので、周囲を丁寧に加工して違和感なく馴染ませる。同時に中央開口部も若干ワイド化。細かく手を加えつつも、極力気づかれないフィニッシュとした。
オバフェンは前仕様から継承。製作担当は水野ボディワークスで、出幅やアーチ上げの量、ラインの付け方まで、オーナーのこだわりをすべて投入。なおかつ作り手のセンスも注いで仕立てられた逸品だ。完成は5〜6年ほど前だが、今でもヒビやゆがみなどは一切見当たらない。
「地元・熊本から岐阜まで、何度も足を運んだ甲斐がありました」。
今回、これに合わせたのはイークロウWXW C1Mの19インチ。聞き慣れない名前だが、SNSでは密かに話題を呼んでいる3ピースモデル。まだ一般に広く販売はされていない気鋭のブランドである。
「F9.5J、R12.5J、オーダーインセットの特注品です」。
そして目ざとい人はすぐ気付いていたであろうサンルーフ。屋根をぶった切り、海外からガラスを取り寄せて装着したワンオフもの。下手をすると廃車の危険もある大技だ。
「昔からVIPの定番オプションといえば、マルチ・本革・サンルーフじゃないですか。だけどセンチュリーにサンルーフの設定はないので、後付けで実現してみました」。
かつて一世を風靡したセッション・トレゾアも採用。探しに探してようやく見つけた当時物である。漆黒の202ボディにジャンクションエアロ、VIPらしいワイド&ローなフォルムとツライチ。そして4本出しのトレゾアからは、重々しいV12サウンドが響き渡る。さらにドアを開けば、赤×黒ツートンの鮮烈なインテリアがお出迎え。
「外は渋く、中はド派手というギャップ狙い。トランクの作り込みや音質・音圧も自信ありです」。
早くも手応えを感じている新仕様は、今後も全国を巡ってお披露目予定。10年前に志したVIPの頂を手にする夢は、まだまだ続く。
インテリア&トランクも必見。定番の赤×黒仕様だが、ダッシュはアルカン、シート中央はパンチングを使うなど質感で変化を出す。室内のあらゆる場所にLEDが仕込まれており、夜も強烈に目立つ。機器類はロックフォードで揃えた。
TOYOTA
50CENTURY
熊本県
西山 航司 (30)
「ここまで来られて、まわりの皆サンには大感謝。特にVIPカーというものを教えて下さった大林社長にはお世話になりました。これからも頑張っていきます」。
▪VIP歴:12年
▪愛車歴:9年
SPECIFICATION
●エアロ:(F・R)ジャンクションプロデュース加工(S)ジャンクションプロデュース+Kブレイク(W)ジャンクションプロデュース ●フェンダー:オーバーフェンダー(F)3㎝(R)6㎝、アーチ上げ(F・R)3㎝ ●ヘッドライト:後期純正 ●フォグランプ:後期純正 ●テールランプ:後期純正 ●ボディカラー:トヨタ202ブラック ●ホイール:イークロウWXW C1M 19inch(F)9.5Jマイナス38(R)12.5Jマイナス38 ●タイヤ:ニットーNT555(F)235/35(R)285/30-19 ●足まわり:イデアル エアマックス(4輪独立) ●アーム:(F)M・Mガレージワンオフナックル・アーパーアーム(R)M・Mガレージワンオフフルアーム ●ブレーキ:イデアルベース×モーターリンク熊本(F)8pot 380φ(R)6pot 380φ ●マフラー:ワンオフストレート加工+セッション トレゾア4本出し ●外装その他:後付けサンルーフ ●室内:フル張り替え、ロックフォードオーディオ、LED&ストロボ加工 ●トランクオーディオ:ロックフォード、LED加工
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表紙
VIPSTYLE
2022年8月号
COVER CAR
TOYOTA
50CENTURY
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