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【表紙車 / 19GS】この仕様が一番カッコいい。だから無理に変えたくない。

オーナー:SHINYA WATANABE × 19GS

【表紙車 / 19GS】
この仕様が一番カッコいい。

だから無理に変えたくない。

RB1オデッセイをセダン風にイジり倒し、満を持して昔から憧れていたセダンの道へ。ボディが薄いクルマが欲しかったから、32シーマとセンチュリーも候補にあった。しかし、個人的に4灯ライトが好きではないのに19GSを選んだのは、嫌いなクルマをカッコ良くしたら逆に好きになると思ったから。ベース車選びから、彼らしいこだわりが見て取れる。

クルマを製作したのは、作りの美しさに定評がある静岡のゴマガレージ。同ショップが得意とする滑らかなブリスターフェンダーでグラマラスなフォルムを形成し、どの黒よりも黒いオリジナルのゴマブラックでオールペン。ゴマガレージの良さを説明するにはもってこいと言える、看板車的存在である。

このクルマを最初に本誌で紹介したのは、15年6月号の巻頭特集「王道VIP」。流行りに左右されず、真のVIPらしさを追求したオーナーカーを紹介する企画だった。

それから約2年。渡辺クンはVIPセダンの象徴である高級かつイカツいスタイルを、今もずっと大事にしていた。実際に王道VIP企画に載った時の仕様と比べると、ホイールやエアロの細かい造形は変更しているものの、このクルマの重要なポイントとなる部分は一切手を加えていない。

「大幅なリメイクをしない理由は、このスタイルが自分の中で一番カッコいいと思っているし、自信があるから。同じ姿でイベントにエントリーして結果が出れば、無理に仕様変更する必要はないと思っています」。

イベントでライバルに勝ちたいがために、ハイペースで仕様を変える人は意外と多い。しかし、自分が気に入っている仕様をわざわざ壊してまで、勝ちたいとは考えていない。ただ何度もイベントに出て、さらに雑誌にも載ったりすると周りも見慣れてきて、デビューしたばかりのクルマに注目度をさらわれてしまう可能性がある。

それが気がかりで多くのオーナーはカタチを変えてくるのだが、渡辺クンの場合はエントリーしたイベントではほぼ総合入り。昨年九州で開催されたがばいカップでは、総合優勝を手にした。カッコ良ければちゃんと結果は付いてくる。彼のポリシーは間違っていなかったと言えるだろう。

「最初の仕様が完成してから2〜3年が経った今も、『カッコいい』と言ってもらえるのは嬉しい。そういう声は、イベントに出さないと聞くことはできないですからね。自分のクルマが、どう評価されるか試したい。だから僕は、イベントに行くんです」。

クルマのコンセプトは、昔から「王道VIP」。高級セダンに相応しい黒×メッキの組み合わせを大事にし、360度どこから見てもスキがない、トータルバランスで魅せるクルマを目指している。前仕様から最も大きく変化したのは、JOBデザインベースのフロントバンパー。以前はツインフォグを収めていたが、今回はブレーンのシングルタイプに変更。スポーティ感を抑え、上質な雰囲気を高めた。

「以前のツインフォグが丸型だったので、クルマのイメージが崩れないように今回も丸フォグを使いたかった。選んだ決め手はメッキのリング。下の位置にメッキを持ってくることで、バランスが良くなったと思います」。

純正のヘッドライトリム、メッキがふんだんに使われた後期450h純正グリルとの相性もバツグンだ。また、リップの造形も変更。クルマをより前のめりな感じに見せるため、短い3本の柱を添えて空洞を設けた。ここは少しだけ今風を取り入れた部分だ。

純正のラインを生かしながら滑らかに膨らませたブリスターはそのままだが、ホイールは変更した。知る人ぞ知るレオンハルトの初期モデル、リッター。VIPの原点と言えるディッシュデザインは、今のスタイルにも違和感なくハマっている。このホイールは長らく廃盤となっていたが、

「昔からリッターが大好きで、もうないと分かっていたけど欲しかった。そこでスーパースターさんにお願いして、特別に作ってもらいました」。

どうしても履きたいという、いちオーナーの熱い想いに応える。スーパースターの懐の深さを垣間見た。

内装は質感が高い、ワインレッドとベージュのエクセーヌ生地で総張り替え。渋いエクステリアに合わせ、アダルトなカラーをセレクトした。内装をやっているとイベントでドアを開けてアピールしたくなるが、渡辺クンは一度会場に並べたら絶対に開けない。ウインドウすら下げないのだ。

「黒いボディによる、この『塊感』を見て欲しいからドアは開けない。あくまでもメインは外装です」。

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●VIPスタイル編集部
掲載:2017年8月号_表紙車
文=岩田 直人 写真=木下 誠