関東を代表するイベントのひとつに成長したユニオン杯。
いよいよ次で20回。
主催の髙橋サンがイベントを続ける熱い想いを語る。
今の若い読者は知らないかもしれないが、ユニオン杯の母体は「オール埼玉VIPユニオン」という、埼玉の各セダンチームが集まって結成されたユニットである。
第1回目を企画したのは、初代の代表だった。
「僕も当時からいちメンバーでしたが、前代表がVIPを引退するので、代表の座を僕に譲ってくださることになったんです。そこで前代表が最後の仕事として、チームをより多くの人に知ってもらえるように、チームの名を冠したドレスアップイベントを開催しました」。
その後は少々ブランクはあったものの、2回目以降は髙橋サンが主体となって行われている。
継続は力なり。
「楽しかった」と言ってもらえることが嬉しかった。
基本的に春と冬、年に2回開催しているユニオン杯。
そして継続は力なり、次回でついに20回目を迎える。
だが本人としては、ここまで続くとは思っていなかったという。
「あまり人には言ってないですが、実は10回を区切りにユニオン杯の開催をやめようと思っていたんです。でも10回目はエントリーの数が630台。これだけの台数が来ることは今までになくて、しかも多くの方に『楽しかった』と言ってもらえてすごく嬉しかったんです。だから20回まで続けようと思いました」。
早くもその20回目が近付いてきているが、今後はどうなるのだろう。
20回目以降も1台でもエントリーしてくれるなら続けていくと思う。
「ある方から、『1台でもエントリーしてくれるなら絶対にやめるな』と言われました。だから僕は、来てくれる方がいる限り続けると思います」。
また髙橋サンは、ユニオン杯に来たすべての人に楽しんでもらえるように、催し物にも力を入れる。
早食い・早飲み大会にものまねタレントによるステージ、そして先日は映画「トラック野郎」でおなじみの一番星号を展示。
ドレスアップイベントにデコトラを呼ぶのは新しい試みだ。
「催し物を考えている時間はすごく楽しいですね。これからも楽しい企画をたくさん用意して、皆サンの心に残るイベントを開催していきます」。
毎回凄いのだが、特に今年のがばいカップは凄かった。
その立役者がカバーカーグランプリ。他にはないスタンプラリーも大好評。
今年で3回目となる、がばいカップ。
エントリー台数350台オーバー、来場者数1000人オーバーの一大イベントである。
主催はKCスタイルの古川サンで、彼はアイデアマンとしても有名。
イベントはオーナーとメーカーを繋ぐ架け橋的な役割だと思う。
当日、大好評だったスタンプラリーも、そんな彼ならではの試み。
VIPで人気の7メーカーのブースを全て回ると、7社のロゴ入り特製エコバッグがもらえるというもの。
「イベントはオーナーとメーカーを繋ぐ架け橋的な役割もある。かしこまらず、ラフに話せるので、普段はできない相談にも乗ってもらい易い。そのきっかけ作りに、このスタンプラリーは最適なんじゃないかって思ったんです」。
もう一つ、今回のイベントを大いに盛り上げたのが、カバーカーグランプリ。レッドカーペット上に、各雑誌の歴代表紙車をズラリと並べた。
「雑誌の表紙になったクルマのみの特別なグランプリ。これは業界初の試みで、まず、表紙車が19台もエントリーしてくれたというのが嬉しかったです。そして、その姿を見た多くの若いオーナーたちが、『いつか自分もあそこに並べたい!』って言っているのを聞いて、カバーカーグランプリはエントリーした表紙車だけでなく、多くの人たちのモチベーションに繋がることが分かった。やる前は新しい試みということで不安もありましたが、今となっては挑戦して良かったなって思っています」。
ちなみに、気になる順位だが、なんと4位までを本誌の表紙車が独占。
僕ら的にも誇らしい結果だった。
イベントは愛車のお披露目の場として絶対に必要。
これからも続けていきたいと思う。
「イベントは愛車のお披露目の場として絶対に必要。準備は徹夜徹夜で大変ですが、僕もVIPの世界で生きている以上、少しでも業界を盛り上げていきたい。今後も沢山の方たちと一緒に頑張って続けていきたいと思っています。そして、今回は過去最高の盛り上がりで、心からいいイベントになったと思っています。本当にありがとうございました」。
海外での活動に力を入れてきたJPが、5年振りに日本国内でイベントを開催。
そこにはVIPの先駆者としての、ある想いがあった。
近年は北米やアジアを中心に、海外での活動を積極的に行ってきたジャンクションプロデュース。
「つい最近も韓国の自動車整備学校の学園祭に呼ばれて行ったんですけど、JPと他のデモカー数台を見に、4000人以上が集まる。これ、凄くないですか」と、JPの上野サン。
JPは韓国をはじめとしたアジアだけでなく、北米展開もどこよりも早く行ってきた。
そこで常に感じてきたのが、世界におけるVIPの価値の高さだ。
しかし振り返って、発祥地である日本はどうか。
創成期からうなぎ登りにVIPオーナーが増えていた状況は、過去のものとは言えまいか。
VIPは世界に誇れる文化。
もっと国内の活性化を図っていかなければアカン
「僕らもある意味、国内は成熟しきってしまったという想いがあって、だから、おろそかになっていた部分もある。でも近年の海外展開を通じて、VIPは世界に誇れる文化ということを改めて実感しました。だったらもっと国内の活性化を図っていかなければアカンということで、5年振りにJP杯を開催したんです」。
とは言え、若者のクルマ離れが叫ばれるだけあり、また規制も厳しくなっていることもあり、過去と同じように開催しても受け入れられない。
だから音楽フェスの要素をミックスさせて、様々なジャンルのミュージシャンやダンサーのステージも併設。
「こういう工夫により、VIPに関心のない人も来てくれるかもしれないし、音楽目的で来た人がVIPに興味を持つという流れもできるかもしれない。参加してくれているオーナーさんも、今までのイベントとは違う楽しみ方ができると思います」。
展示場所が雨でグチャグチャだったら参加したくないという人もいると思い、アスファルトで雨もしのげる場所にしたのも一つの工夫だ。
「今後もJP杯は、VIPオーナーだけのものではなく、世間に開けたものにしていきたい。そしてVIPが世界に誇れるものだということを、もっと世間に浸透させたいですね」。
かつて自分も、目を輝かせて全国のイベントを回っていた1人。
あの頃の楽しさを今にも──そんな思いがトップスタイル杯の原点。
VIP創成期にインフィニで活躍。
地元・広島だけでなく、全国のイベントに精力的に参加した経験を持つ。
「当時のイベは参加台数が多くて、賞もなかなか獲れなかった。でも、その分獲れた時は最高に嬉しかった。それに何より、普段は会えないオーナーたちとの交流が楽しみでしたね」。
昔と違う雰囲気を感じて立ち上がる。
同じ趣味の人たちが集まってみんなで楽しんでほしい。
しかし、KAZUOサンがLSで復活した頃(2011年頃)、再びイベントに行くと、昔とはちょっと雰囲気が変わっていたという。
「トロフィーを獲ることだけが目的の人が増えたと感じました。見たところ交流も昔ほど盛んじゃないし、これだと賞をもらえない=つまらない、という感じになっちゃうんじゃないかなぁ…と」。
本来イベントは同じ趣味の人間たちが集まって、みんなで楽しむもの。
そんな当たり前のことを今のオーナーたちにも知ってもらいたくて、立ち上げたのがトップスタイル杯だ。
もっとたくさんの人にエントリーしてもらえるために、もっと楽しいイベントを目指す。
「色んな方に興味を持ってもらえるよう、メーカー&ショップさんにブースを出してもらったり、スーパーカーを展示したり。お楽しみ抽選会にもこだわっていて、TVやホイールなど豪華賞品だけでなく、下の賞品も『もらえて良かった』と思える物を用意。開催の5ヶ月前からボクがホームセンターとか回って集めてます」。
賞については同車種が5台集まれば部門を設けるなど、多くの人がトロフィーを手にできるよう配慮。
「受賞の喜びを知ってもらいたい。ボクはボウズの方が燃えるタイプですが(笑)、今は何度か賞を獲れなかったから辞めた、という人も多い。それは凄くもったいないと思うんです」。
アメ車や軽トラのチームを誘致するなど、他ジャンルへの呼びかけにも積極的。
その甲斐あって、この12thステージでは過去最多の407台のエントリー車を集めた。
「イベント自体が魅力的になれば、今はためらっている人たちもエントリーしてくれるはず。もっともっと、楽しいイベントを目指します」。