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【Tディメンド】アメリカでの現在地

T-DEMAND
掲載:2019年2月号_巻頭特集
文=奥山 貴嗣 写真=内田 俊輔

アメリカはラスベガス近郊。観光客で賑わうレッドロックキャニオンのパーキングスペースに黒塗りの車高短が入り込んだ瞬間、その場の空気感が変わった。写真撮影を楽しんでいた親子や休憩中のバイカーが動きを止めて、自然と目で追ってしまうほどのオーラ。少し開けたスペースにクルマが停止したかと思えば、一瞬のうちに車体が地面に着地する様子は、否応にも注目を浴びる。

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「これはなんというクルマだい?」
と、先ほどのバイカーが興味津々な様子で聞いてくる。日本のレクサス、それが日本のメーカーの手でドレスアップされたクルマだと教えることにちょっとした優越感を覚えてしまったことを許して欲しい。

Tディメンドがアメリカに進出を果たして早3年。セマショーへの出展も3度経験し、アメリカ内のドレスアップフリークの間でも車高短の匠としての地位を固めてきた。

田中サンから見たアメリカでのVIPセダンの印象はスタンス的なイジりか、純和風のイジりかの2タイプ。Tディメンドが目指すカッコ良さは、どちらにも属さないその中間を自認する。漆黒のボディは目を引く派手さはないが、一度視界に入れば不思議と目を離せなくなる。車高、ツラ、キャンバー角が高い次元でバランスが取れているのだ。

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「アメリカに初めて製品を出荷したのは2013年。ハワイ在住の40LSオーナーがフルアームを注文してくれたんです。初めての米国進出は業者ではなく個人輸出でした」。

それを機にアメリカからのオーダーが増え、現地での認知度が上昇。トントン拍子にセントラルパインUSAがLAで総代理販売店を立ち上げ、16年にはメーカーとして初のセマショー出展を果たす。初めての出展車輌は10GS。実はこれにはストーリーがあり、代理店が決まったタイミングに、ラスベガスのビルダーで日本人の村田サンが代表を務めるサムライモータースから、

「Tディメフルコンプリート仕様の10GS前期を作らせてください」

と相談があった。実は村田サンは以前に田中サンが乗っていた10GS前期に憧れ、全く同じ仕様をアメリカの地で再現させたいという熱い思いがあった。その願いを田中サンは快諾し、それならセマショーに出展しようという運びになったのだ。

そして2回目のセマ出展。満を持してセントラルパインUSAが製作した出展車輌はレクサスLC。リリースされたばかりの新型車輌をいち早くベタベタに仕上げ、Tディメンドのブースは常に人だかりができていた。

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その翌年、つまり2018年の東京オートサロンのTディメンドブースには、真っ赤なレクサスLCの姿があった。そして、2019年のサロンには50LSを出展予定。

「ここ2年はTディメンドジャパンに先立って、セマショーでUSA側が新型車輌を出展しているんです。それだけ頑張ってくれていることが嬉しい。こちらも負けていられないなって気持ちになります」。

だがセマショーという大舞台に対して、田中サン自身は正直なところ重きを置いていないのだという。あくまで米国でTディメンドのチームとして頑張ってくれている仲間のお披露目の場、ひいては出展できたという事実が重要で、お客サンの反応などは一切見ることがないというから驚きだ。一見すると冷めていると思われるかもしれないが、内には熱い気持ちを秘めている。

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「ギャラリーの反応や流行を見て製品作りをしたことがないんです。僕がカッコいいと思うスタイルを追求して、そのために必要なパーツ作りを続けていくだけ。さらに言えば、Tディメンドのファンでいてくれる人たちに意識が向いているというのが大きいです。ボクが作ったスタイルをカッコいいと共感してくれる人たちがいる。アメリカ人はこういうのが好き、ということではなく、好みって世界中どこでも変わらないと思います。だから信じてついてきてくれる人たちのためにも頑張ろうって思います」。

Tディメンドの人気は今やアメリカのみならず中国でも沸騰中。12月上旬にマカオ近郊で開催されたドレスアップカーイベントには、Tディメパーツを装着しているベンツやBMWが多数参加していた。田中サンも現地の代理店に招待されて参加したそうだが、中国のカスタムカー文化の成熟度に驚く。

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「カスタムのレベルが高いのはもちろんですが、パーツの性能が飛び抜けて高い。エアサス一つとっても日本はもちろん、アメリカのはるか先をいっています。ボクもサスペンションパーツの最先端は常に中国から学ばせてもらっています」。

田中サン自身が世界に飛び出し、見て学んだ技術が自社製品にフィードバックされる。常に最良のアップデートを見据えた探究心と好奇心がTディメンドの強みだ。それに共感した製作店が世界中に広まり、より多くのオーナーの元に届くことを心より願っている。