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【31セルシオ】自分がやりたいことをやらないと、満足できるクルマは作れない

掲載:2017年12月号_一車入魂_Vol.44
文=岩田 直人 写真=木下 誠

MAYA × 31CELSIOR

 クルマの免許を取ってから、ずっとドレスアップカー一筋。まずL900ムーヴを買い、イベントで頂点を目指すためにとことんイジり倒した。
「睡眠時間を削って仕事を掛け持ちして、稼いだお金は全てムーヴに注ぎ込みました。家に着いた瞬間、玄関で寝てしまったことも多かったですね」。
 あなたをもっと輝かせたい。その想いだけでドレスアップし続け、ついにイベントで総合優勝。そしてKカー専門誌、Kスタイルの表紙を飾った。
 Kカーに夢中になっている時、セダンに乗りたい想いがふつふつと湧き始めた摩耶サン。彼女にとって、VIPセダンは特別な存在だったという。
「セダンはドレスアップ業界の中でも常に最先端を行っていて、当時のKカーやワゴンはセダンのイジり方をマネする時代でした。中でも私がムーヴでイベントに行っていた時に現行だった30セルシオは、特別な存在。どのセダンよりも輝いて見えました」。

 ムーヴを所有したまま、彼女は31セルシオ前期を購入。そしてすぐさま、後期仕様に変更した。セルシオは最初からイジる気満々で、しかもセダンはKカーとは違い、男性オーナーが多く活躍する世界。さらに気合いが入る。
「もちろん女の人にも負けたくないですけど、むしろ私のライバルは男の人。『女の子なのにすごい!』とか、『本当に女性のクルマなの?』という声を聞きたいから、セルシオでも上を目指して頑張ろうと決めました」。
 この努力が実を結び、摩耶サンのセルシオは本誌12年11月号の表紙を飾った。セダンとKカー、2つのドレスアップ雑誌のカバーカーを経験した女性オーナーは珍しい。イベントではギャラリーから注目を集め、入賞も経験。ただ当時の仕様は、個人的に決して納得行くものではなかった。
「セダン業界で多くの人に存在を知って欲しいという想いが強すぎて、流行りを意識し過ぎたと思います。そんな時、ムーヴは自分がやりたいことをカタチにして、私自身ものすごく楽しかったことを思い出しました。当時のセルシオは、確かに周りのウケは良かったです。でも私のクルマなのに、私が満足できなくてどうするんだ、という結論に辿り着いたんです」。
 自分の気持ちに素直になろう、そう決心した彼女。本当に好きな仕様は、ムーヴの時と同じくインパクト系。
「流行を気にせず好きなようにイジッて、『私がやりたかったことはこんな感じです! いかがですか?』と、アピールするくらいの気持ちで行くべきだと思った。だから今の仕様が完成した時は、かなり嬉しかったですね」。

 16年7月号のセダン女子で披露した仕様は、どこから見ても逞しく、迫力に満ちたフォルムで読者を驚かせた。22インチのアシャンティFSを余裕で飲み込むほどのデザインブリスターをはじめ、色鮮やかなキャンディレッドでの全塗装や3D形状のアグレッシブなエアロメイクなど、とにかくど派手なワザで前仕様のイメージを徹底的に消す。そして今回は以前から温めていたネタを具現化させ、もっと過激なスタイルへと進化した。
 最大の見どころは、ワンオフのリアウイング。後方に鋭く伸びる3分割の上に、大きな足付きのハネをセット。ワイドで滑らかなリアフェンダーに違和感なく繋げ、一体感を持たせた。
「下の3分割がポイントで、上のハネをシャープに見せる効果を狙いました。先に作ったブリスターとのバランスもバッチリだと思っています」。
 上下左右いっぱいに広がる開口が特徴の、フロントバンパーもリメイク。左右の開口に端まで延ばしたフィンを追加して、その上に4連デイライトをインストール。見応えが増した。
「フィンは自分でペーパーをかけて、理想のデザインに仕上げました」。
 ヘッドライトも作り直す。ローのプロジェクターはオリジナルの3連に変更し、バンパーにも負けない眼力の強さをゲット。他にもドアミラーウインカーの変更や塗り分けの追加、アンテナのスムージングなど細かい部分を見直し、クルマの完成度を上げた。

 今の摩耶サンにとって、このクルマは「私のすべて」と語る。長い人生において、楽しいことばかりではなく、数多くの苦しいこと・辛いことを経験した。しかしそれを乗り越えられたのも、常にセルシオがそばにいたから。
「クルマは単なる機械ではなく、生きていると思っています。私の情熱や想いをセルシオに伝えると、それに応えてくれる。だから私はセルシオによく話しかけるんです。イベントに行く時も、『私を会場まで無事に連れて行ってね』と言ってから出発します」。
 セルシオに対する熱い想いは、いつしか彼女の両親の気持ちまで変えた。当初はドレスアップを反対していたが、今では全力で応援してくれる。
 また、今回の撮影前日まで電装系のトラブルでクルマの調子が悪く、撮影場所まで辿り着けない可能性もあった。しかし、奇跡が起きたのだ。
「明日の撮影は、あなたが主役の日なんだよ。お願いだから動いて!」。
 大きなヘッドライトを見つめながらそう話しかけた翌日、不具合は一切起きなかった。間違いなく、摩耶サンのセルシオには「命」が宿っている。

 

 

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